相手との距離感を一気に縮めるHi!の効用

  
オーストラリアに限らず英語圏の国では、プライベート、オフィシャルな場面に関わらず、そして相手が初対面か、親しい間柄に関わらず"HI"の一言で一気に相手との距離感を縮め、特に初対面の人に対してはそれまで親しい知り合いだったかのように打ち解けてしまいます。

そのスピードたるや尋常ではなく、初対面同士の壁を乗り越えるのに非常に時間がかかる日本人のコミュニケーションとは一線を画します。本当に一瞬の笑顔とHiのコンビネーションで人はいとも簡単に心の壁を解放し、相手に親しみを感じ、相手との関係性に引き込まれます。

英語圏の方々は元々社交性はあり、とてもフレンドリーに接してきますから彼らがこの表現を使うから初対面同士の打ち解け合うスピードが速いのかと思いましたが、元々引っ込み思案で、人と話す事が苦手、一匹狼の私が同じくこの方法で話しかけてみてもほぼ100%の確率で初対面の壁をいとも簡単に取り除く事ができました。

そんな英語圏の国々で自分の社交性を発揮するには簡単すぎる表現ですが、これは本当に強力です。お友達100人できるんじゃないでしょうか?もちろんその社会的背景には知らない人でも気兼ねなく道端であったら挨拶するという慣習がありますから、ことさら知らない相手との関係性を持たないようにしている日本社会の慣習とは少し勝手が違うかもしれません。

それでも、日本人の場合ある程度親しい間柄でも遠慮してしまい相手との距離感を遠く保ってしまうため真に打ち解け合う、相手との心の距離感がかなり近づく体験をすることは日常ではなかなかないでしょう。

英語の"Hi"という表現は辞書では"こんにちは やぁ"などと訳されていますが、実際のところこれに値する表現は日本語には無いのではないかというのが私の見解です。

まず"こんにちは"という表現と"HI"という表現比べてみてほしいのですが、相手と会話しているイメージを持って、感覚的にこの2つの表現を口に出して発音した際の相手との距離感を比べてみてほしいのです。

どうでしょうか?英語は日常で使っていないとなかなかイメージしにくいとは思いますが、"こんにちは"という表現は割と初対面でも良く使われる表現ですがすこし"HI"と比べれば畏まっていて、相手のテリトリーに入るにはもう3歩必要な感じがします。

では"どうも"はどうでしょうか?これは数回対面していてある程度面識がある人に対して使われる表現ですが、これでもまだHIに比べればぜんぜん相手との距離感があります。

では最後に"や!よう!"はどうでしょうか?距離感は"HI"と同等かそれ以上縮まった感じはしますが、冒頭にも書きましたが"HI"はオフィシャルな場面でも普通に使われるややカジュアルな表現です。日本でこのような表現がオフィシャルな場面で使えるかと言ったら少し疑問符がつきます。また使える年齢層や相手が極めて限られます。同世代もしくは年下でもかなり親しい間柄に限るでしょう。その他、初対面で使ったり、年齢を召された方に使えば当たり前ですが無礼です。これも"HI"と訳すには不適切に感じます。

今回は言葉の持っている性格をとらえて厳密に"HI"に値する日本語意味を探りましたが、なかなか"HI"ほど便利な表現は日本語では見当たりません。初対面からかなり短時間で近しい関係性まで発展することができる欧米文化はその文化背景が言語にも如実に現れています。もちろん時間をかけて徐々にお互いの関係性を深めて行く日本の慣習にも美徳はありますが、"HI"という表現をはじめ社交性についてはオーストラリアのみならず英米文化から学ぶ余地は多いにあると思います。

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