初期投資は重要 商売道具の購入をケチるな

  
どんな仕事も始める前にはそれなりの準備が必要です。特に商売道具は仕事を円滑に効率よく進める為に必要不可欠な物です。

もしあなたがどこかの会社に就いたとしたら、自分で用意しなければならない最低限のものは揃えると思います。

スーツ、ネクタイ、筆記用具、メモ帳、鞄、携帯など。自分の経験がある分野の職種では仕事を始める上で必要な自己投資は当たり前のようにしますが、職種が変わるとどうしても出し惜しみしてしまいます。

特にカジュアル待遇のワーカーは自己投資の重要性の認識が甘くなる傾向があり、仕事をこなしていく内に準備不足によって怪我をしたり、服がないため凍えながら働いたり、帽子が無い為に熱中症にかかってしまうといった災難に見舞われます。

自分の仕事の待遇がカジュアルだろうがフルタイムだろうが、最低限かならず投資しなければならない道具や服には金を出し惜しみするべきではありません。特に肉体労働の現場で商売道具が自己防衛の道具になり得ます。

サラリーマンが革靴を履けば、ファーマーはガンブーツを履きます。サラリーマンがスーツを着れば、ファーマーはUVカットの長袖Tシャツ、レインコートを来ます。こうした自己投資は絶対にケチってはいけません。かならず準備の段階で揃えられる物は全て揃えるようにします。

また安易に安価なものを選ばずに出来るだけ質が良いものを選んだ方が長く現場で働く上では怪我や災難から未然に身を守る事になるのです。

では私が現在働いているストロベリーファームで必要な自己投資はいかなるものかをご紹介いたします。

靴、ブーツ

ストロベリーファームでは一番重要な投資物件です。この投資は絶対に避けてはいけません。

私はこれまで長靴、防水性のショートブーツ、防水性のシューズを購入しましたがこれからストロベリーファームで働き始める皆さんが用意するべきものは、ひざ下まである長めの長靴と丁度くるぶしがかぶるくらいの長さの防水性のショートブーツです。

特にプランティングは常にスプリンクラーが作動しており土には常に水が降り注いでいる状態。土壌はかなり水分を含んで緩んでいる為、簡単に自分の体重で足が膝まで泥水にめり込んでしまいます。

ひざ下まである長靴でも泥水に埋もれて簡単に泥が長靴のなかになだれこんできます。正直どんな靴を履いても泥水は靴の中に浸透するため、実は紹介している靴は泥水が靴の中に入る事を防ぐ目的で購入しているわけではありません。泥水に含まれる小石によって足を傷つけたり痛めたりしないために購入するのです。

ひざ下まである長靴は厚手のゴム長靴を選んでください。地中には割と鋭い尖った石がいくつもあるのでそれで足を切ってしまうと後の始末が面倒です。

というのも泥水が長靴に入った状態で作業を続ける事になるので衛生環境は最悪です。傷がついた足はすぐに化膿し始めます。

次にショートブーツですが、これは足の保護を重視したものではなくて、機能性重視になります。

プランティングの作業は2チーム体勢で、プランティングとバケットに分かれて作業します。プランティングは畝に苗を植える作業。バケットは必要な数の苗をバケツに詰めてプランティングの作業をしている人に届ける作業です。

バケット担当の人は常に畝の間を行ったり来たりするため柔軟性に欠ける長靴では役不足です。常に活発に動けるように防水性に優れた柔軟性と機能性に優れたブーツがこの作業には適当です。

またバケットの作業は長い間同じ場所に留まらない為、深く泥水の中に足が埋もれることはないので頑丈なものより機能性重視です。といっても生地の厚さは厚手のものを用意する方がベターです。

靴下

かなり重要です。泥水に濡れるからといってはかないのはかなり危険です。


これを見てください。これは私の足ですが、靴下をはかないで靴を履いた結果水ぶくれが足底部に出来てそれが破裂し化膿しています。

大量に水を含んだ土壌の上はかなり不安定で足の様々なところに極端に負担がかかるため使い古しの長靴であっても素足で長靴を穿いていれば簡単に靴擦れがおきます。

また現場では常に泥水に足を浸している状態なので足の皮膚はふやけます。皮膚がかなり弱い状態になるので泥に足を取られまいと踏ん張った瞬間水ぶくれが破裂してしまいます。

そこにばい菌が入って化膿してしまうリスクがあるので靴下はかならず用意しなければなりません。特に厚手のハイソックスがあれば好ましいです。

ハイソックスが泥水で濡れたら休憩時間にかならず足を乾かして、乾いた新しい靴下に取り替えてから作業してください。ふやけた皮膚は簡単に破けます。

傷の化膿は治りが非常に遅いです。

レインコート

ファームの朝は非常に早いです。通常は朝6時から仕事開始ですが、繁忙期になると朝5時から仕事が開始になったりします。そしてファームの朝は夏場でも気温が低く長袖が必要な場合があります。

寒いからといって現場ではスプリンクラーを切ることはしません。苗は太陽の日に当てられ根が乾いたら一瞬で死んでしまうため、プランティングの数時間前には既にスプリンクラーを作動させて土壌に水を含ませます。その後も常にスプリンクラーが作動しています。

朝の寒い時間帯にスプリンクラーの水を浴びながらの作業は辛すぎます。私も最初はTシャツ一枚で作業していました寒い中ずぶぬれになりながらの作業は正直こたえます。風邪になったワーカーも何人もいるので、プランティングの際には必須アイテムと言えるでしょう。

手袋

苺の苗は20~30本分をゴムで一束にまとめたものが十数個箱に梱包された状態で畑に届きます。バケット担当の人は苗6束分を一気にバケツに入れます。

プランティングのチームに合わせるためにスピーディーに仕事をこなさなければならない為、急いで何度も苗の茎の隙間に指を突っ込んで6束分を取り出してバケツに移す為、指の先端がささくれてきます。

苗の茎は雑草と大差ない硬さですが、何度も手を出し入れしているとその硬さでも徐々に指先の皮膚がめくれてきます。また苗は湿らせてあるため皮膚が弱くなりやすくささくれが悪化しやすいです。

当初私は手袋無しで作業していた為、何度もプラントに手を出し入れしているうちに中指の小さなササクレをきっかけとして第一関節後半まで皮膚がめくれてしまいました。

その他にも手を傷めるリスクはたくさんあります。プランティングには”spatula”といって小さなヘラを使って苗の根を畝に押し込んで植えるのですが、苗を抑えている指をspatulaでよく傷つけます。急いでいれば急いでいるほど手に力が入り深手を負うリスクがあるので手袋は必要です。

また苗が入ったバケツをプランターに届ける際も手のひらや親指に皮膚ずれをおこしてしまいます。苗が入ったバケツは一つ20kg程度。苗だけでなく根を乾かさない為に相当量の水を入れるためかなり重くなります。

そのバケツを2~3個もって不安定な土の上をかけずり回るので手の各所にかなりの負担がかかるため皮膚をいためてしまいます。

こうした怪我の問題は大丈夫だと思ってもやり続けて行くうちに早晩発生するので、必ず手袋は用意しましょう。

帽子

熱中症対策です。オーストラリアの紫外線は日中国連が規定している紫外線の危険度を示すUVインデックスの数値が一年を通して最高値かそれ以上になります。特に日陰が少なく太陽に直接当たる確率が高いストロベリーファームは帽子は必須アイテム。

また天気が安定している場合、気温は正午にさしかかると30度を軽くこえる日が多くなるため帽子をかぶらないで作業すると倒れます。というか死にます。

熱中症対策は真剣にやらないと本当に危険です。農場側は暑いから仕事を休憩するという発想は無いです。出荷に間に合わせる為に休憩休日返上でぶっ続けで働くため自分の体調管理はしっかりしないと、あっという間に太陽の餌食になります。先日2人が熱中症で不調を訴え辞めて行きました。

ファームではたらく際は帽子は必ず必要です。絶対に購入しましょう。

長袖

紫外線対策はUVカットクリームだけでは不十分です。なぜかというと現場は常にスプリンクラーが作動しており肌に塗ったクリームはすぐに落ちてしまいます。

少し暑いかもしれませんが通気性の良い薄手の長袖のシャツを用意した方が良いです。こちらの日焼けは日本で経験するものとは別です。

オーストラリアで直射日光のもと肌を露出したままでいると肌が焼けただれたように赤く変色します。とくに肌が弱いひとには水ぶくれなど火傷に似た症状が出るので、スプリンクラーが作動している現場では長袖を着た方がベターです。

また朝の寒さ対策にもなるので薄手のロングスリーブだけでなくトレーナーも用意しておくと便利かもしれません。

まとめ

こんかい紹介したファームで働く際の必須アイテムはあくまでも必要最低限のものです。必要に応じてファーストエイドキットやサングラスも購入しておくといいかもしれません。

ファームでは基本的にワーカーのケアはしません。自分の体調管理や怪我の管理は自分でしなければならないため、仕事に必要なものはしっかりと事前に準備する事が重要です。

それこそ働けなくなったらその間の給料は発生しなくなるため、投資した分の費用対効果を考える余地はなく必要な投資だと思って質の良い商売道具を選んで購入することがファームで働く前に必要な事です。

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