オーストラリアの農場では人手が必要なシーズンに合わせて大量に人を雇い入れる。特にプランティングのシーズンは収穫のシーズンに間に合わせるため、また収穫のシーズンは市場に作物を出荷するのに間に合わせる為にマンパワーによって効率的に作業を進めて行く。
マネージャーはフィールドでよく「我々は有能な奴しかいらない。本当は少数精鋭でやりたい。ここにいるスーパバイザーは一人でお前らの10倍の働きをする。お前えらはチームで働いているのに仕事が遅すぎる」と怒鳴っていた。
邪推かもしれないが、ファームは有能な農業経験者だけを労働市場から少数雇い入れ人件費を安く留めつつ効率的に収穫のシーズン、出荷のシーズンに合わせて仕事を進めて行きたいというのが本音なのではないかと思う。誰でもビジネスをやっていれば思いつく発想だが有能なワーカーが集まらないのには少し理由があると私は思っている。
基本的にファームを運営する会社はフルタイムワーカーを数十人やとっているが、経験がある農業従事者でもフルタイムに昇格するのは結構難しい。その農場でスーパバイザーの資格を持って何年も働ているワーカーでもカジュアルワーカーに毛が生えたような扱いだ。要はバイトリーダーのような感じだ。
私が働いている農場でも韓国人、中国人、フィリピン人のスーパバイザーがカジュアルワーカーを監督する立場として自らもプランティングに参加して働いているが、給料の管理方法は時給だ。それぞれIDを持っており始まりと終わりの時間をコンピューターで記録してマネージメントにそのデータを送り給料をもらっている。
オーストラリアは人件費が高く、世界で一番労働人権に厳しい国の一つだ。フルタイムワーカーは会社から手厚い福利厚生や社会保障に守られている。会社はなるべく正規の雇用を減らしてカジュアルで必要な時に必要な人材だけをやとい入れたいというのが本音だろう。
というのもファームの仕事の期間は非常に限定的だ。プランティングやハーベストのシーズンは1年中あるわけではないし、天候によっても仕事の量が大きく左右される。プランティングは一つのファームで一年のうちで3ヶ月、ハーベストも3ヶ月くらいだ。そのほんの短い期間だけカジュアルで働いてもらう有能な人材はなかなか見つからない。
技能を持った有能な農業従事者の獲得は熾烈で現在ガムツリーで募集しているファームの有資格者、経験者求人のほとんどはフルタイムだ。安定した仕事が手に入るのにカジュアルで働きたいとは普通思わないだろう。
私が働いているファームにも一人農業の経験があるアイルランド人がカジュアルで働いているがこういうのはまれで、ほとんどは未経験のカジュアルワーカーから有能に育った人材をスーパバイザーのポジションにつけている。
一部のファームではインターネットの広告を通じてかなり好条件で技能をもったファーマーをカジュアルで募集しているのを見るが、ほとんどのファームではシーズンに間に合わせるため、時間的なコストと有能な人材を確保する為の広告コストをできるだけ抑えたいのでワーホリメーカーとのパイプを持つコントラクターと契約している。
ここで言うコントラクターとは人材斡旋会社のことだ。語学学校や留学センターとのパイプや各種ウェブサイトやソーシャルへの広告出稿によってワーホリメーカーや現地のフリーターの集客を行い十分に人材が確保できたところで現地のファームにワーカーを送る。
私の見立てでは少数精鋭のワーカーを集める事はファームにとってはとても理想的だが特に時間的なコストの面と熾烈な農業従事者獲得争いの中で付加しなければならないワーカーの待遇面でのコストを考えると手っ取り早く高時給で未経験のカジュアルワーカーを釣ってマンパワーで作業を進める方がコストパフォーマンスが良いのだ。
ただコストパフォーマンスには優れていても、基本的にカジュアルワーカーとして雇われる人間はどこの馬の骨とも知れない農業未経験のワーホリメーカーか若しくは現地のフリーターだ。ほとんど人選をしないで雇うため、全てを一から教えなければならない。短期間で技能を習得し成果をださせるためにはファームのマネージメントがどれだけ素人を使いこなせるかにかかっている。
私が働いているファームでのマネージメントの方法はマネージャーによる強烈なリーダーシップとレイオフやデイオフなどのペナルティーによってワーカーを縛り仕事に集中させる環境を作っている。具体的には以下の事で恐怖や緊張感そして焦燥感を煽ってワーカーが一生懸命に仕事をするような仕組みをつくっている。
他言は許さず強烈なマネージャーのリーダーシップの下効率的にペナルティーをワーカーにちらつかせお金が動機で働きにきているワーカーの尻に火をつけるのだ。
このマネージメントには賛否両論あるだろうが、短期間で未経験の人間を使って成果を上げるには非常に効率的な方法だと思った。
ペナルティーを課して労働者を働かせるというのはいささかマイナスイメージが伴うが。きつい肉体労働に、積極的にワーカーを参加させるにはポジティブな褒め言葉だけではなかなか効率は上がらない。疲れてくれば作業の能率は絶対に下がる。そこで追い込みが必要になって来る。
実際に現場に出てみれば分かるが、働き始めて数日で作業スピードが圧倒的に上がり、一日目は一面終るのに3時間はかかったのに次の日には2時間で終るようになる。真剣に働いている人間の物事の吸収スピードは凄まじく速い。
もちろんファーム側はこの過酷な労働環境でワーカーが辞めるというリスクも背負っているが、人材確保に困るということは決して無い。ファームでは労働需要のほうが圧倒的に勝っているからである。理由は2つある。
また人選をしないかわりに雇う人間の国籍を選んでいるところがうまい。
私が働いているファームワーカーの国籍は日本人、韓国人、台湾人、香港といった構成で東アジア中心である。
基本的に東アジアの労働者は雇用者に対して過度に自分の待遇の不満や要求をぶつけない従順な人間が多く、また一人の雇用者の下で比較的長期間に渡ってはたらく傾向にある為おそらく意図的にワーカーの国籍を限定しているのだろうと思う。
今まで私と働いているワーカーが実際待遇面や労働環境を不満に思い直接マネージャーに談判しにいった人間はいない。ちなみに私がファームに入る2週間前2人のイタリア人がこのファームに雇用されていたが、労働環境の不満を直接マネージャーに談判し辞めて行った。
その国の人間の傾向を理解し、ルールに対して従順な国民性を利用してペナルティーを用いたマネージメントに組み込んでいるという非常に巧みなノウハウを蓄積している。
カジュアルワーカーのマンパワーを利用してもマネージメントのノウハウがないとどうしてもワーカーをまとめきれなかったり、効率的にワーカーを動かせない。恐怖のマネージメントをの方法を誤りレイオフを繰り返した結果ワーカーが寄り付かなくなってしまったファームもある。
私が働いているファームは基本的にしっかり働いていれば辞めさせられるという憂き目に遭う事はない。ペナルティーをちらつかせてワーカーを働かせるがオフの日はマネージャーはかなり温和な態度で接して来る。すべて巧妙なさじ加減によってお互いの信頼関係を築いているのだ。
体育会気質や軍隊気質のマネージメントが批判されるのも分かるが、ビジネスで最大に重要な結果を見据えた時に一番効率的に成果が出せるかどうかは仕事の内容や働く人材の能力によって変わって来る。ファームに限って言えば、必ずしも褒めるマネージメントが結果を出せるという保証は無い。
マネージャーはフィールドでよく「我々は有能な奴しかいらない。本当は少数精鋭でやりたい。ここにいるスーパバイザーは一人でお前らの10倍の働きをする。お前えらはチームで働いているのに仕事が遅すぎる」と怒鳴っていた。
邪推かもしれないが、ファームは有能な農業経験者だけを労働市場から少数雇い入れ人件費を安く留めつつ効率的に収穫のシーズン、出荷のシーズンに合わせて仕事を進めて行きたいというのが本音なのではないかと思う。誰でもビジネスをやっていれば思いつく発想だが有能なワーカーが集まらないのには少し理由があると私は思っている。
基本的にファームを運営する会社はフルタイムワーカーを数十人やとっているが、経験がある農業従事者でもフルタイムに昇格するのは結構難しい。その農場でスーパバイザーの資格を持って何年も働ているワーカーでもカジュアルワーカーに毛が生えたような扱いだ。要はバイトリーダーのような感じだ。
私が働いている農場でも韓国人、中国人、フィリピン人のスーパバイザーがカジュアルワーカーを監督する立場として自らもプランティングに参加して働いているが、給料の管理方法は時給だ。それぞれIDを持っており始まりと終わりの時間をコンピューターで記録してマネージメントにそのデータを送り給料をもらっている。
オーストラリアは人件費が高く、世界で一番労働人権に厳しい国の一つだ。フルタイムワーカーは会社から手厚い福利厚生や社会保障に守られている。会社はなるべく正規の雇用を減らしてカジュアルで必要な時に必要な人材だけをやとい入れたいというのが本音だろう。
というのもファームの仕事の期間は非常に限定的だ。プランティングやハーベストのシーズンは1年中あるわけではないし、天候によっても仕事の量が大きく左右される。プランティングは一つのファームで一年のうちで3ヶ月、ハーベストも3ヶ月くらいだ。そのほんの短い期間だけカジュアルで働いてもらう有能な人材はなかなか見つからない。
技能を持った有能な農業従事者の獲得は熾烈で現在ガムツリーで募集しているファームの有資格者、経験者求人のほとんどはフルタイムだ。安定した仕事が手に入るのにカジュアルで働きたいとは普通思わないだろう。
私が働いているファームにも一人農業の経験があるアイルランド人がカジュアルで働いているがこういうのはまれで、ほとんどは未経験のカジュアルワーカーから有能に育った人材をスーパバイザーのポジションにつけている。
一部のファームではインターネットの広告を通じてかなり好条件で技能をもったファーマーをカジュアルで募集しているのを見るが、ほとんどのファームではシーズンに間に合わせるため、時間的なコストと有能な人材を確保する為の広告コストをできるだけ抑えたいのでワーホリメーカーとのパイプを持つコントラクターと契約している。
ここで言うコントラクターとは人材斡旋会社のことだ。語学学校や留学センターとのパイプや各種ウェブサイトやソーシャルへの広告出稿によってワーホリメーカーや現地のフリーターの集客を行い十分に人材が確保できたところで現地のファームにワーカーを送る。
私の見立てでは少数精鋭のワーカーを集める事はファームにとってはとても理想的だが特に時間的なコストの面と熾烈な農業従事者獲得争いの中で付加しなければならないワーカーの待遇面でのコストを考えると手っ取り早く高時給で未経験のカジュアルワーカーを釣ってマンパワーで作業を進める方がコストパフォーマンスが良いのだ。
ただコストパフォーマンスには優れていても、基本的にカジュアルワーカーとして雇われる人間はどこの馬の骨とも知れない農業未経験のワーホリメーカーか若しくは現地のフリーターだ。ほとんど人選をしないで雇うため、全てを一から教えなければならない。短期間で技能を習得し成果をださせるためにはファームのマネージメントがどれだけ素人を使いこなせるかにかかっている。
私が働いているファームでのマネージメントの方法はマネージャーによる強烈なリーダーシップとレイオフやデイオフなどのペナルティーによってワーカーを縛り仕事に集中させる環境を作っている。具体的には以下の事で恐怖や緊張感そして焦燥感を煽ってワーカーが一生懸命に仕事をするような仕組みをつくっている。
- 畑で怒鳴って追い込みを掛けワーカーの緊張感を刺激する
- 仕事が遅いワーカーは解雇をすると宣告する
- 現場に遅れて来たらドンガ(宿泊施設)に戻して仕事をさせない
- 現場での働きを時給の給料と天秤にかけて脅す
- プラントを一つでも無駄にしたら給料から差し引くと脅す
- スーパバイザーの話を聞かなかったらドンガへ強制送還
- 一糸乱れぬチームワークを要求する。
- 畑にいる間は私語も許されない
他言は許さず強烈なマネージャーのリーダーシップの下効率的にペナルティーをワーカーにちらつかせお金が動機で働きにきているワーカーの尻に火をつけるのだ。
このマネージメントには賛否両論あるだろうが、短期間で未経験の人間を使って成果を上げるには非常に効率的な方法だと思った。
ペナルティーを課して労働者を働かせるというのはいささかマイナスイメージが伴うが。きつい肉体労働に、積極的にワーカーを参加させるにはポジティブな褒め言葉だけではなかなか効率は上がらない。疲れてくれば作業の能率は絶対に下がる。そこで追い込みが必要になって来る。
実際に現場に出てみれば分かるが、働き始めて数日で作業スピードが圧倒的に上がり、一日目は一面終るのに3時間はかかったのに次の日には2時間で終るようになる。真剣に働いている人間の物事の吸収スピードは凄まじく速い。
もちろんファーム側はこの過酷な労働環境でワーカーが辞めるというリスクも背負っているが、人材確保に困るということは決して無い。ファームでは労働需要のほうが圧倒的に勝っているからである。理由は2つある。
- 未経験でセカンドビザを取りやすい
- 未経験でも圧倒的に稼げる
また人選をしないかわりに雇う人間の国籍を選んでいるところがうまい。
私が働いているファームワーカーの国籍は日本人、韓国人、台湾人、香港といった構成で東アジア中心である。
基本的に東アジアの労働者は雇用者に対して過度に自分の待遇の不満や要求をぶつけない従順な人間が多く、また一人の雇用者の下で比較的長期間に渡ってはたらく傾向にある為おそらく意図的にワーカーの国籍を限定しているのだろうと思う。
今まで私と働いているワーカーが実際待遇面や労働環境を不満に思い直接マネージャーに談判しにいった人間はいない。ちなみに私がファームに入る2週間前2人のイタリア人がこのファームに雇用されていたが、労働環境の不満を直接マネージャーに談判し辞めて行った。
その国の人間の傾向を理解し、ルールに対して従順な国民性を利用してペナルティーを用いたマネージメントに組み込んでいるという非常に巧みなノウハウを蓄積している。
カジュアルワーカーのマンパワーを利用してもマネージメントのノウハウがないとどうしてもワーカーをまとめきれなかったり、効率的にワーカーを動かせない。恐怖のマネージメントをの方法を誤りレイオフを繰り返した結果ワーカーが寄り付かなくなってしまったファームもある。
私が働いているファームは基本的にしっかり働いていれば辞めさせられるという憂き目に遭う事はない。ペナルティーをちらつかせてワーカーを働かせるがオフの日はマネージャーはかなり温和な態度で接して来る。すべて巧妙なさじ加減によってお互いの信頼関係を築いているのだ。
体育会気質や軍隊気質のマネージメントが批判されるのも分かるが、ビジネスで最大に重要な結果を見据えた時に一番効率的に成果が出せるかどうかは仕事の内容や働く人材の能力によって変わって来る。ファームに限って言えば、必ずしも褒めるマネージメントが結果を出せるという保証は無い。
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