苺ファームの光景色々

  
私が現在働いているファームではカジュアルのワーカーが20人とフルタイムのワーカーが10人で収穫のシーズンに向けて大急ぎでプランティング作業に追われている。

しかし3月中旬のモレイフィールド、カブルチャーの天候は非常に変わりやすく度々仕事が中断したり予期せぬデイオフが続いたりしてなかなか思うように仕事が捗らない。

そして災難は畳み掛けるように続く。雨の影響で苺の苗を運んでいるトラックにかなりの遅れが出ている事だ。今週分の苺の苗がまだ現場に到着していない為プランティング担当のワーカーはデイオフが続き、マネージャー、スーパバイザーに対する不満が噴出している。ファームからの移動を考えている者も出始めた。

ファームの仕事は安定しない。常に温暖な気候で快晴とは限らない。気候によって一日の仕事の量が左右されるためカジュアルワーカーにとって現実は厳しいものだ。

特にオーストラリアの東海岸、クイーンズランドは亜熱帯の気候に属するため雨期のシーズンに入ると激しいスコールが来襲し降ったり止んだりを繰り返す。

そのためこちらのファーマーはその日の雲行きを見て即座にデイオフ、仕事の続行か中止を判断する。日がでていて雨が降っていなくても仕事が中止の場合は空の模様を確認した方がいい。

また苺の苗は水分が多すぎても、日に当たりすぎてもあっという間に死んでしまうため少し曇っていて日が隠れている程度がプランティングに最適だが、そんな日は現在のシーズンでは滅多にないため、私の推測だが農場関係者は現在のシーズンはなんとか畑の手入れ程度に留めて天候が安定するシーズンまで待っているという気がする。

しかしフルタイムのワーカーの糊口は保証しないとならないので何かやる事を見つけて仕事を与えている感じだ。そこで私はカジュアルだがヘマをやらかしたスーパーバイザーのサポート要因としてかり出されたわけだ。
マネージャーに朝6時に起され除草散布の仕事にかり出された。

農場での仕事は本当に閑散期と繁忙期がはっきり別れる。ワーカーからの不満が噴出するのも無理も無いだろう。

このトラクターで大量の水を運ぶ。およそ1tから2tの水を専用のタンクに給水しトラクターで持ち上げて畑まで運ぶ。この水はプランティング用の水ではなくて除草剤用だ。農薬と水の配合割合はおよそ1:9。除草液を背負子型のパックの中に入れ給水した水で薄めて使う。

パックの中の除草剤が無くなったらトラクターに戻って農薬と水を入れる。この作業を何度も繰り返す。

このタンクは背負うときが一番キツい。

雨で土壌がぬかるむ。ここの所よくスコールが降り続くので畑周辺の土壌は非常に柔らかくなっており、歩くと簡単に膝下まで泥に足がめり込む。泥の中にはミミズが生息しており、仕事中は長靴の中で蠢いているミミズを取れないまま作業する。非常に気持ちが悪い。

このビニールシートに覆われた場所がこれからプランティングを開始する場所。なぜビニールシートが土の上にかぶせてあるのかというと、苗の根っこが日に当たるとあっという間に枯れてしまうためだ。

このビニールシートの横に生えている雑草に除草剤をかけるのが私の仕事だ。雨が降り続くとこの雑草の成長スピードは飛躍的に上がる。あっという間にビニールシートを覆い隠すほど成長してしまう。

仕事開始前の集合場所。毎朝昨日の仕事のできを叱咤されたり説教をくらったりする場所だ。マネージャーの話は基本的に誰も聞いてない。上の空。

農場の中にはこうしたちょっとした湖があったり川が流れている。どれだけ農場が大きいか想像できるだろう。ここの川や湖はかなり農薬にやられているので魚はあまり見かけない。

これが給水タンク。ここから別のタンクに水を移しそれをトラクターで畑まで持って行く。スコールを利用して雨水を貯蔵している。

これがプランティングした苗。数日間雨が降り続いて苺の苗が花を開いている。一レーンでだいたい百本の苗を植える。それを30分以内に完了させなければならない。そうしないとスーパバイザーから詰められる。



仕事の要素をぬけば、ゆっくり田舎暮らしを楽しむなら最適な場所じゃないだろうか。仕事に集中している時は目の前のことばかりで気がつかないが、一旦立ち止まって耳をすませてみればとても耳に心地良い鳥の鳴き声、心地よい風の音が耳を優しく包む。時間の流れ方がゆっくりで都会の喧噪とは全く無縁の完全な田舎だ。マネージャーとスーパバイザーさえいなければいい場所なんだが。。。

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