あ?世界一住みやすい国メルボルン?欠点だらけだよ

  
さてメルボルンでシェアハウスに移り生活を始めておよそ一ヶ月あまり。築100年冷暖房無しのオンボロ格安物件(光熱費、インターネット諸々込みで月300ドル)で同居人であるオーストラリア人と顔を合わせる事無く(活動時間帯が異なりかつ、夕食の支度以外の時間は基本マイルームに引きこもる)生活している。オウンルームは8畳一間の部屋にクイーンサイズのベッドが一つと大型のクローゼットに机、椅子がつき広くてなかなか快適な生活をしている。

さて前置きはこのくらいにして、世界一住みやすい都市としてイギリスの経済誌「エコノミスト」を発行するエコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)にとりあげられている、オーストラリアで2番目に大きい都市メルボルンについて、そのランキング結果に不満と懐疑心をつのらせるこの僕が実際にメルボルンに住んでみて不便に思う事、不満に思う事、イラッすることについて日本人感覚でバッサバッサと切って行こうと思う。

僕のみならず、このランキングを見た世界中の人々がこう思っているはずだ。今年2016年のランキング上は上位8位まで全てイギリスの元お膝元、元植民地だ。イギリスエコノミストがどいういう基準でその都市を選出したかは分からないが、歴史もあり世界的に権威のある新聞社が偏狭な価値観で自国の文化を引き継いでいる国の都市を優先的にランキング上位に選んでいる猿芝居だと。

さて行ってみようか。

交差点

オーストラリアはアメリカに負けず劣らず言わずと知れた車社会。ハイウェイでも国道でもない一般道が片側2車線もあり、ハイウェイに至っては4車線、5車線あったりする。一般道でさえ2車線も確保しているにもかかわらず、出勤、退社の時間帯になると道路が赤いブレーキランプで埋め尽くされる。どこからそんなに車が湧いてくるのか、オーストラリアの帰宅ラッシュは日本の通勤ラッシュの車バージョンと行っても差し支えないほど凄まじい。

そんな生活の足として電車やバスにでも乗るような感覚で多くの人が車を使っているここオーストラリアでは車を優先を感じさせるような交通ルールがいくつかあり辟易させられる。特に交差点は歩行者に優しくないと感じる。
歩行者の信号の待ち時間は先進国のなかでも非情なほど長く、一般の十字路交差点で2分〜3分、ハイウェイを含む大規模な多叉路交差点に至っては信号が変わるまで4分以上待たされたりする。そのため待ちきれず信号無視をする人が続出している。というか信号無視が当たり前になっている感じだ。

また信号が青になり、赤になって点滅して、赤信号になるまでの時間が非常に短い。メルボルンの交通ルールでは交差点に進入できるタイミングは歩行者用の信号機が青になっている時だけだ。赤の点滅時で交差点に進入することは交通違反にあたる。しかもこの青になっている時間が平均して10秒も無いため交差点前にて既に待機して渡る準備をしている人だけしか渡れない。交通ルールを厳格に守ろうとすれば信号機にぶつかる度に数分の道草を食う事になる。

また信号機が点滅して赤にかわるまでの時間もかなり短い。交差点に進入したはいいが早足での歩行や小走りで渡らないと信号機が赤になる前に渡りきれない。そのため体に障害を抱える人や老人にとってはとても酷な交通ルールとなる。さらにメルボルンのドライバーの運転マナーは常々悪いと感じていて、どんな理由があっても信号が変われば目の色を変えて通行の権利を主張する。赤信号だけどまだ渡り切っていない人に対してクラクションをならしたり罵声を浴びせたりする奴を見た事が有るが心に余裕が無い奴が多い。

多叉路交差点などにある大規模な多車線道路を渡る時も、多少の差こそあれど、基本的に青信号、点滅信号、赤信号の間隔は同じだ。日本のように歩行者に配慮して大規模な道路を横断する際、青信号の時間が比較的長く設定されていると言う事はない。そのためこちらでは大規模道路を横断する際は2回に分けて横断歩道を渡る事になる。 歩いて渡れば、信号機は丁度道路の中央分離帯付近で赤信号に変わる為、ほとんどの場合、中央分離帯に信号待ちスペースが設置されており、歩行者はそこで信号機が青になるまで待たなければならない。

大規模な交差点だと一回の信号の待ち時間が3~4分だがそれを2回待つということになると6分から8分も信号機の前に突っ立っていなければならないということになり、点滅信号でも突っ走って一気に横断歩道を渡る人がほとんどである。

そもそも走らなければ横断歩道を渡り切る前に赤信号になってしまうというのはいささか先進国の交通事情としては致命的である。いくら車社会と言えど、僕の感覚からすれば後進国レベルと言っても差し支えない。それだけひどいということだ。

坂道

個人的に坂道は足腰を鍛えられてよいという人はいいが、通常オーストラリアで生活する人にとって嫌気がさすほど坂道が多い。僕はこれまでダーウィン、ブリズベン、ケアンズ、メルボルンと4つの都市で生活をしてきたが、ケアンズを除いた3つの都市は生活圏内で平坦な道などなかった。スーパーに買い物に行くのにアップダウンを2回以上繰り返すというのはざらだった。そのため郊外に住めば坂道から解放されるかと思い生活してみると、都市部よりもさらにキツい坂道に悩まされることになった。本当に外出するのが億劫になるほど坂道が多い。そのためこっちの人は徒歩15分の距離だって買い物の為に車を回す。坂が急すぎて自転車を都市部で乗る人はほとんどいない。町の歩道脇には観光用の有料のレンタサイクルが設置されていたりするが乗っている人はまずみない。ランニングでは鍛えられそうだが気軽に体を動かせる地形ではないため外を走る人よりもジム通いが一般的だ。足腰が鍛えらるメリットを声高にさけぶ輩もいるが、オーストラリアの主要都市の坂道の傾斜角度は尋常ではない。とにかく足腰への負担が大きく、とくに買い物をすませて家路につく為に坂道を歩こうと思ったら何度か休憩を挟まないとキツすぎる。体が丈夫でない人は車やバイクがないと生活に支障が及ぶだろう。

オーストラリアで生活するひとつアドバイスする。それは都市部と郊外とでは坂の質が異なるということだ。オーストラリアの地形上の問題なのかはたまたインフラ整備の問題かは分からないが、都市部に近くなるほど坂道の傾斜角度はキツくなる。その反面一つの坂道の距離が短く、上り坂の後すぐに下り坂といった感じにアップダウンが非常に激しい地形になっている。

逆に郊外では坂は都市部に比べてかなり緩やかだが、終わりなき坂道が延々と続く。今現在僕すんでいるメルボルン郊外のクレイトンは自宅から駅までは概ね下り坂でアップダウンがほとんどない。駅まで歩く分にはスムーズだが帰りは非常にしんどい。坂道を延々と登って行かなければならないのだから。

傾斜角度のきつい坂道がアップダウンを繰り返す都市部に住むか、延々と続くしつこい緩やかな坂道がある郊外に住むかはあなた次第だが、どちらにしても坂道と言う呪縛からは逃れられない。

天気

10月のメルボルンは日本の4月、5月に相当すると思う。日本で4月、5月の気候と言えば春も半ばに差し掛かり夏の到来を予感させるような暖かい陽気に包まれると思うが、メルボルンは違う。春だというのに日中と夜の気温差がかなりあるのだ。メルボルンはオーストラリアの最南端に位置する都市の一つであるせいか、気温の高低差は日によってもばらつきが有り一週間のうち5日や6日は冬並みに寒い。というかまだ冬だ。暖かいと思える日は週に一度あるかないか程度。

天候がくずれやすく晴れの日は本当にめずらしい。春は大概空はどんよりとした雨雲があたり一面を覆い尽くし降ったり止んだりを繰り返す。晴れの日でも太陽が空に顔をだしている時間は一日のうちで数時間程度。あっという間に空は雲に覆われ雨が降って来る。夏は多少ましになるらしいが、現地のオーストラリア人も天候の予想がつかず、天気予報もあてにならないので 天候が突如として悪くなるので常に鞄に雨具を忍ばせているという人もいた。

四季の変わり目は例外無くどこの国も天気は崩れるのだが、メルボルンの場合冬から続く天気の崩れが春になってもなってもしつこく残っていると言う感じだ。

今日も雨で外は寒い。

公衆トイレ、駅のトイレ

公衆トイレは世界共通、「汚い」、「臭い」、「暗い」3kのイメージがつきまとう。メルボルンの公衆トイレも例外ではない。臭いが強烈だったり、水洗機能が壊れていて汚物が放置されていたり、便座が無かったりと用を足すのに躊躇う要素がいくつもある。汚い話しだが、大の方をした場合一回で全て流れない場合が多く、ときには工夫してモノを刻んでながさなければならない。極めつけはトイレットペーパーが用意されていない事があるということだ。トイレの個室にトイレットペーパーホルダーさえ設置されていないところがいくつかあり、公衆トイレを利用する際には必ず確認してほしい。生理現象は時と場所を選ばないというのは理解するが僕はなるべく用を足す場合はモールやショッピングセンターのトイレを薦めている。

道路工事

道路の公共工事は時期を選ばずに頻繁にあちらこちらでやっている。それ自体は珍しい光景では無いだろう。どの国も国の要請を受けて道路のメンテナンスはしなければならないが、問題は歩行者専用道路の工事だ。日本の場合は工事などで歩行者用道路の一部が使用できない場合はポールやコーンバーを使い一部車道を利用して歩行者通路を確保し建設会社に雇われた交通誘導員が歩行者を安全に誘導するが、オーストラリアではそういった配慮が全くない。歩道上に工事中の標識と工事箇所を取り囲むフェンスがあるだけだで、歩行者は自分で勝手に安全確認をして車道にでて工事現場を通り過ぎまた歩道に戻らなければならない。

インターネット

オーストラリアはIMFが定義しているところの「一人当たりの所得が高い国」として先進国に認定されていますが、インターネット事情は先進国としてお話にならないほど遅れていてさらに経済発展を続けるベトナム、タイ、カンボジア、インドネシアといった開発途上国にさえ遅れをとっていると言うありさま。はっきり言って使用するデータ量によってインターネットの使用料金が変わってくるなんていつの時代のインターネットだと思ってしまう。月額使用のデータが使い放題ではないため、ダウンロードなどをしてデータを使いすぎるとインターネット回線の処理速度が極端に遅くなり次の月まで処理速度が改善されない。通常の処理速度でさえネットサーフィンをしていてストレスがたまるほど遅いのに、さらに遅くなるのでパソコンを閉じてしまう。Gmailもローディングで止まってしまったり、yahooメールはベータ版しか開けなかったりおちおちメールの送受信も満足に出来ない。本当にこの国のインターネット事情は後進国並みだなと感じる。アプリをダウンロードする時はなるべくwifiが無料で飛んでいる銀行やマクドナルドに行くようにしている。

コンビニ

オーストラリアのコンビニは都市部では独立した店舗が建ち並んでいるが、郊外に出ればガソスタに併設されているという特徴がある。オーストラリアのコンビニの特徴はボッタクリとも思えるほどの良識の範疇を超えた値段設定だ。例えば350mlのぺっとボトルはコンビニで4ドルで売られているのだが、こちらの2大スーパーマーケットであるColesやWoolworthなどは2リットル入りのペットボトルを4ドルで提供している。どれだけぼったくっているか分かるだろう。しかもこの値段設定は固定の定価ではなく場所によってばらつきがある。例えば僕が住んでいるところから数百メートルのコンビニに売っている350ml入りのコーラは5ドルの値段で売っている。この強気の値段設定には理由がある。と思っている。僕の自宅はクレイトンの駅から離れた閑静な住宅街にあり、食材の貝出しに利用しているColesの店舗までは4km近くあり、自転車で行っているのだが、頻繁に行くには骨が折れる距離だ。このコンビニは歩いて数分のところにあり雨が本降りの時やスーパーが閉まってしまった時はこのコンビニで買い物をしてしまう。住宅地で購買の需要があるにも関わらず徒歩圏内で大型のスーパーがなく競合が少ないということにコンビニの経営者が気付き出店し、便乗値上げをしているんだろうと思う。

都市部のコンビニはここまで横暴な値段設定をしない。なぜなら大手のスーパーチェーンが各所でコンビニを展開しており値段も通常のスーパーで売られている値段と相違ないからだ。ただそれでも350ml入りのコーラは3ドルで売られている。

ノーザンテリトリーのダーウィンなんかは空港のコンビニで350mlボトルの水を購入しようとしたら7ドルもしたので驚いた。

品揃えは日本のコンビニと比べると雲泥の差がある。基本的に生活に必要な物なら何でもそろう日本のコンビニとは対照的にこちらオーストラリアのコンビニは簡単な日用品と飲み物、スナック類のみ。絶望的な品揃えと、ボッタクリとも思える値段設定をしているオーストラリアのコンビニだが、悔しいが、どうしても利用してしまう。そもそもとして数百メートル圏内にコンビニがいくつもあるという日本と違ってコンビニの数自体が少なく、大手スーパーが住宅地から割と離れている地域では絶妙な場所にコンビニがあるため面倒に感じる場合はどうしても買い物してしまうのだ。

しかし日本のコンビニがオーストラリアで展開したら凄い事になりそうだが。

まとめ

まあとりあえずこんなとこだろうか。日本人の視点でバッサバッサ切ると書いておきながら独断と偏見の記事になってしまったが少しは共感できる部分は有るのではないかと思う。暮らし向きが良い変わるいかを判断するにはやはり個人差があるし、ランキング上位の国が住みやすいかと言うとそうでは決して無いと思う。今回は実際のオーストラリアでの生活に焦点をあてて、安全性、医療、文化・環境、教育の項目を除いて評価したが、比べる事で文化の地がでは片付けられない欠点も見えて来る。特別日本がいいとは思わないが僕が世界の住みやすい都市ランキングをつけるのであればメルボルンなどランキングにも入らないということを付け加えたい。

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