マネージャーに朝6時に起され除草散布の仕事にかり出された。

  
早朝6時、私が滞在している部屋のドアがけたたましくノックされる。ドンドンドン、ドンドンドン。 ドアの外でマネージャーの声がする。

「ここが例のガタイがいい日本人の部屋か?本当にここなんだな?」と誰かとここが私の部屋かどうかを確認している。

ドンドンドン!「オーイ!起きろ仕事だ。お前には今日別の仕事を与える。10分以内に着替えて外で待ってろ。現場に連れてく。」ドア越しに叫び声が聞こえ一気に目が覚め、頭の中が混乱したまま急いで仕事の支度を済ませ外に出る。

するとそこにはスーパバイザーとマネージャーが車の中で待機。ハッハッハッハッハと快活な笑いを飛ばしながら私の肩を抱き寄せながら、「お前を探していたんだよ。名前が思い出せなくてな探すのに苦労したぜ。」と不適な笑みを浮かべる

絶対にキツい仕事だとこの時思った。だいたい誰もやりたがらない仕事をワーカーに与えるときは上機嫌に肩を抱いてそのワーカーが必要な存在だという事を何度も説いて断りにくくするのだ。

「お前は体力に自信がありそうだから色々仕事を紹介してやるから毎朝6時にここに立って待っていてくれ」といって通常8時からの仕事が6時開始に変更されさらにキツい仕事を与えられる事になった。

本日の仕事内容は40kgもある除草剤のタンクを背負って炎天下33度を越す畑の中で延々と除草剤を雑草に散布する作業だ。苺の苗が植えられている場所は土が盛り上がっておりビニールがかぶせられている。その苗の植え込みと植え込みの間に生えている雑草に除草剤を散布する。

特に最近はカブルチャー、モレイフィールド周辺は雨続きで、雑草の成長速度が速い。一番背が高い雑草で私の胸まで届くものがあった。

散布の方法は除草剤のタンクから伸びるホースの先に着いているノズルがスプリンクラーになっており手首を左右に動かしながら満遍なく除草剤がかかるようにする。

畑が広大すぎてどこから手をつけていいか手持ち無沙汰だ。とりあえず東京ドーム数個分もある畑に生えている全ての雑草に除草剤を撒かなければならないのでスーパーバイザーと既に3ヶ月ここで働いているオーストラリア人に手順を確認しながら仕事を進めて行くことになった。

スーパバイザー:「今日お前に与えられた時間は休憩時間を除いて11時間だ。その間にこの畑全部に除草剤を撒くんだいいな? わからないことはこいつに聞け」とオーストラリア人とタッグを組まされ、せき立てられるように仕事が始まった。

ここでもスーパバイザーが詰めて来る。「そんなスピードじゃ今日中に終らんぞ?速く動け」 確かにスーパバイザーは仕事が鬼のように速い。僕が植え込みを1往復する間に2往復は終了している。

笑いながらオーストラリア人が私に話しかけて来る「奴もマネージャーにはっぱかけれているのさ。奴は前の仕事でヘマやって、この仕事でマネージャーが認める成果を出さないとアデレードに飛ばされるんだ。マネージャーが君を選んだ理由は奴の仕事がはかどるようにと良心からの人選だ。まあ頑張ろうぜ」

そういう事か。まあとりあえずスーパバイザーを救ってやる事にして、スピードを上げて仕事に取り組んだ。

が日中の日照りは強く単純な作業とはいえ疲労が蓄積し集中力が低下、結果スピードがだんだん落ちて来る。そこえ容赦なくスーパバイザーの詰めが入る。キツい。重い。暑い。マジでキツい。

一つだけこのスーパバイザーがクソだったのは昼食の時間を与えてくれなかった事だ。仕事を早く終わらせたいが為に休憩返上で私とオーストラリア人を働かせていた。奴はちゃっかり昼食を持参してトラクターの上で堂々と食べていた。それを見た時には殺意を覚えた。

そんなこんなで朝6時30分から始まった仕事は休憩を挟む事無く夕方の6時30分で終った。12時間労働で残業分の給料はしっかり出るとのこと。

単調な肉体労働を長時間続けるのは本当につらい。体力的につらいというよりも精神的にくる。また日中の暑さで頭がぼーっとして目がうつろになってくる。仕事が終了したときの充実感は確かにあるが、泥だらけの服でもベッドに倒れたい衝動に駆られる。

明日はどんな仕事を任されるのか不安で仕方が無い。マネージャーの笑顔がトラウマだ。

P.S. 効率的に雑草が取り除けるとはいえ除草剤散布しすぎ、農薬使い過ぎ。オーストラリアは基本的に農薬が使われた食材が多いとは聞いているがここまでたっぷりと農薬を使うとは思わなかった。これが消費者の口に入ると思うと恐ろしい。

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