メルボルンの公共交通機関の料金体系の仕組み

  
メルボルンで公共交通機関を利用するとMykiカードは必須だ。日本のSUICAと同様の共通乗車カードだが、カードで買い物が出来る電子マネーのシステムはない。こちらではクレジットやEFPOSカードで買い物をするのが一般的だ。とはいえ現金で電車の切符を買ったり、直接バスやトラムの運転士と乗車賃の支払いを現金で直接やりとりすることができるのでカードを持っていない人もトラムやバス、電車に乗る事は出来る。しかしトラムやバスには自動運賃支払機がないため、カードを持たない観光客が着た場合は悩みの種になっているようだ。

メルボルン市内は帰宅ラッシュや通勤ラッシュに限らず度々渋滞が発生しその度にトラムやバスが規定の到着時刻を大幅に遅れると言う事は良くある。しかしドライバーは一人一人ダイヤの時間通り性格に運行する事に努めているため、余計なところで時間を食われたくないというのが本音だろう、直接現金でのやりとりはたいていドライバーに面倒くさそうな対応をされる。

僕も最初にメルボルンに来た当初は現金で直接運転士とやりとりしていたが、現金での直接支払いは面倒な上、バスのドライバーが取引に応じない事もあったのでカードに換えたのだ。現金での取引に応じないとはどういうことかというと、バスやトラムの車内が混みだしたり、ダイヤが乱れてドライバーが急いでいる時は降りる時に支払いを求められたりするのだが、降りる時も車内が混んでいたり、乗り込んで来る客が続々と現れると支払うタイミングを完全に失い結局一線も支払わずにバスやトラムを後にするということがあったのだ。

無賃乗車はオーストラリア運輸省が定めた法律があり、支払っていないことが明らかになった場合は罰金が課せられることになっている。電車やバス、トラムには政府から雇われたチェッカーが一般人にまぎれて目を光らせているため無賃乗車がバレるとその場で400ドルを請求されてしまうのだ。

これはまずいということで急きょ駅でMykiカードを買い求めて以後カードに入金を繰り返して使っている。

Mykiカードはどこで手に入るのか

Mykiカードはサザンクロスやフリンダーズストリートのような大規模ターミナルであればPTV hub と呼ばれる日本で言うところの緑の窓口かチケットオフィスで買い求める事が出来る。またセブンイレブンを始めとした大手コンビニチェーンでも取り扱っている。一部個人商店でも取り扱っているところがある。たいてい店の窓にMykiカードの取り扱いステッカーが張られている。値段は一般的なA full fare mykiで6ドル、また子供、シニア、または障害者などはall concession myki cardsで3ドルとなっている。

Melaluecaメルボルン公共交通機関のシステム

メルボルンの公共交通機関の値段のシステムは、一般的に利用料金の有効期限の種類、zoneの区間別料金、そして様々な条件を満たし受ける譲歩(値下げ)の3つの要素によって運賃が決まると言うなかなか複雑なシステムを採用している。

その他にも週末以外のウィークデーに朝7時15分に電車に乗ると乗車料金がただになる、Early Bird train travelや、3ゾーン以上乗車する場合に条件付きで30%のディスカウントが受けられるoff peakというサービスがある。

Myki カードには2つのアカウント

Mykiカードには2種類のアカウントがあり、利用頻度が高い人が期間ごとに一括で支払って大幅なディスカウントを受けられるMyki Passと乗車の度に料金を支払うMyki Moneyの2種類がある。どちらも購入時にチケットオフィスまたはPTVHUBで希望のアカウントに登録してもらう必要があり、特に係員に何も申し出なければMykiMoneyとして登録される事になる。登録後、どちらかのアカウントに自分でオンラインから設定し直すと言う事は出来ない、チケットオフィスまたはPTVHUBで登録変更とアカウントに入っているお金をリファンドしてもらう必要がある。

Myki Money
このカードは基本的に2hour fare と Diary fareの二種類があり、それぞれ有効期限が決まっている。2hour fareは2時間、Dairy fareであれば一日同じ乗車料金で何回も乗り降りが可能である。しかし2hour fareの場合は2時間の有効期限がすぎると乗車料金が自動的にDairyfareになる仕組みになっている。2時間の有効期限はzone1と2以外のzone内にある駅に行く場合は段階的に有効期限が延長される仕組みになっている。これは後程説明する。

off-peakシステム
その他このMikiMoneyカードにはoff-peakというシステムがあり、zoneを3つ以上またがって乗車した場合、週末と祝祭日は終日、またウィークデーは午前9時前と午後4時から6時までの時間帯を除き30%乗車料金が自動的にディスカウントされる。しかし下車駅でMykiMoneyカードをタッチオフしなかった場合は通常料金を支払う事になる。

Weekend and public holiday daily capシステム
週末、祝祭日は2hour fare, diary fareに関わらずzone1とzone2において$6.00で乗り放題になる。

Early Bird train travelシステム
ウィークデイに7時15分前までに電車に乗車すると乗車料金がただになるシステム。

他にも12人以上の集団で乗車すると割引になるサービスや高齢者向けの割引サービスがある。

Myki Pass
Myki passには2種類の定期タイプがありウィークリーの7days pass と1ヶ月から1年タイプの28days~325days passがある。一ヶ月~一年タイプのpassは26日~69日のタイプと70日から325日のタイプがある。それぞれzoneごとの値段設定が違う。

7days passを購入した場合、タッチオンした日から翌週の同じ曜日の午前3時までが有効期限となる。

325日から365日のMyki passを購入した場合は325日分の支払いのみとなる。

concession cardについて

オーストラリア政府から公共交通機関の特別割引の権利を有する資格を持つカードを保持している人に与えられる特権。通常concessionを受ける場合はconcessionの受ける資格のあるカードを駅のチケットオフィスかまたはPTVHUBで提示してconcession cardを発行してもらう必要がある。このconcessionカードもMykiカードと同様カードにはMyki Money と Myki passのアカウントがあり、乗車料金は通常料金の二分の一で乗車する事が出来る。3歳以下の子供は無料で乗車する事が出来る。以下はこのConcessionカードを発行する権利を与えられている代表的な資格である。

The Victorian Seniors Card
グリーンメディケアカード保持者で、週の労働時間が35時間以下の60歳以上の男女に与えられる様々な特権や恩恵が受けられるカード。公共交通機関も割引になる。


Pensioner Card
年金受給資格者カード。年金の受給資格を持つ人は医師にかかる費用、そしてガス、水道、電気また車やバイクなどの車検(レジストレーション)など日々の生活にかかる費用などを一部政府が負担し、また公共交通機関の利用料金を一部割り引いてもらう権利を有するカードである。


health care card
政府が定める国民の最低収入額に達していない低所得者が、医師の診断を受けて特別安い価格で処方薬をもらったり、公共交通機関を利用するにあたって特別に乗車料金を割り引いてもらう権利を有するカードである


Victorian Public Transport Student Concession Card
学生用コンセッションカード。17歳未満の学生はコンセッションカードを持たなくても割引価格で乗車できる。(恐らくMyki購入時の登録作業でディスカウント料金が設定されると思われる。)また17歳以上の学生は駅でVictorian Public Transport (VPT) Concession Card を申し込む必要がある。


2hour fareのシステム

この"2 hour fare" の 2hourとはバス、トラム、VLineなどの電車に乗車可能な有効期限の事で、例えば、駅やトラムステーション、バス内に設置されているタッチオンパネル(自動改札機)にMykiカードをタッチ(タッチオン)してから目的地のタッチオンパネルにカードをタッチ(タッチオフ)するまで2時間以内であれば2hour fareの値段で何度も乗車する事ができ、有効期限をすぎると1日乗車券(2hour fareの2倍の値段)に切り替わる。

一日乗車券に切り替わるとタッチオフした時に2 hour fareのおよそ2倍の乗車料金がMykiカードから引かれるが、一日公共交通機関はzone規定のzone内であれば乗り放題である。

ただしこの2hour fareの有効期限はzoneを複数またぐ場合は目的地に到着するまで有効期限が延長される。
この表はzoneをまたいだ数による2hour fareの有効期限の延長時間を表している。最大4時間までの延長になっている。あくまでも規定された時間内に規定されたzoneでタッチオフしなければ有効期限切れということで一日乗車券に切り替わってしましまう。例えばzone1内にあるFlinders street駅からzone4内にあるBallarat駅に行く場合、表に基づくと、4つのzoneをまたいでいるので、有効期限は30分延長され、Flinders station からタッチオンして2時間30分以内にBallarat駅でタッチオフしなければならないと言う事になる。逆に2時間30分以内であれば支払った乗車料金で何度も乗り降りできる。

zoneを通過した数によって乗車料金が異なる

またややこしいのは、全てのzoneが一定の料金ではないということだ。これは2hour fareだけではなくてDiaryやMyki passにも適用されている。今回は2 hour fareのdefaultの値段と比較してその違いを確かめたいと思う。
これは2hour fareのデフォルトの値段だ。zone1とzone2にある各駅を乗り降りした場合の2hour fareの値段は$3.90になるが、V-Lineなどの電車を利用してRegional Station(地方駅)に向かうと2hour fareの値段が変わってくるのだ。

zone別のV Lineの乗車料金で、zone1の駅を基準としてzone数が増えるほど遠ざかり値段が上がっている。一番左側のmyki 2hourのfull fareの値段を見てもらえば分かると思うが、zone3になるとデフォルトの値段からおよそ7ドル高くなっているのが分かる。要はzone1にある駅から出発してzone3、zone4と別のzoneの駅に行く場合に調べる料金表である。

先ほども書いたが、2hour fareの有効期限は通過したzoneの数によって2時間半から4時間まで延長されており、その規定された時間内は乗り放題だが、有効期限がすぎるとDiaryとして換算されるので注意してほしい。

ではzone3内のある駅から、同じzone3内にある別の駅に移動する場合の値段設定はどうなっているのかというと、デフォルトとは別の値段設定がある。この表を見てほしい。
2hour fareの場合、zone1+2は固定で$3.90そしてzone2一区間のばあいは$2.70になるが、zone1、2以外のzoneで電車を利用する場合一区間は$2.40になる。

これはzone1を除いたの区間別料金表になる。左側の数字はトラムや電車でまたがるzoneの数を表す。例えば先ほどの例で説明するとZone3内のある駅からZone3ないのある別の駅に移動する際、1区間分しか移動していないので、料金表の左側の1という数字を選び、2 hour fare の場合は$2.40ということになる。zoneをまたがる数が多いほど料金が高くなっているのが分かる。といっても自分の降りる駅がどのZoneに属しているかはなかなか把握するのは難しい。メルボルンPT(Public Transportation Victoria)のホームページでは駅名で乗車賃が計算できるシステムがあるのでそのリンクをここに貼っておく→https://www.ptv.vic.gov.au/tickets/regional-fares-2016/

フリートラムゾーンについて

フリートラムゾーンは2015年1月に導入された比較的新しい試みで、メルボルンCBDの限られた区間を無料で移動する事が出来る。利用頻度の高い通勤者と観光客のシティ内での移動利便性の向上を目的とした政策だ。余談だが、オーストラリアの鉄道やトラム、バスなどの公共交通機関の大半は1900年代中頃に民営化されているが、メルボルンの公共交通機関は政府とつながりが非常に強いようである。フリーゾーンが設置される以前はzone1+2のデフォルト料金がかかっていたようである。

トラムフリーゾーンの主な境界線はマップのSpring street、Flinders Street と Trobe Streetとなっている。またmap上部のビクトリアマーケットを囲むビクトリアストリート、ウィリアムストリート、エリザベスストリートもトラムフリーゾーンの境界線に位置しているので、zone1のシティ中心部を無料で移動する場合は上記のmapをダウンロードして確認してほしい。URLはここに記載しておく。メルボルントラムフリーゾーンmapダウンロード

トラムに乗車する際はフリーゾーンではMykiカードをタッチオンする必要も無いし、極端な話しMykiカードを持っている必要もないが、フリーゾーンを出たら必ず車内にあるタッチオンパネルにカードをタッチしなければならない。というのはフリーゾーンの外の区画では各プラットフォームにチェッカーが待機していることがあり、無賃乗車を防ぐため抜き打ちで車内にいる乗客に対してカードの履歴チェックを行う。タッチオンの形跡がなければ身分証を提示してその場で罰金を支払うか後日自宅に罰金の督促状が届く。支払いに応じなければ悪質と見なされ裁判所からさらに高い請求書が届く事もあるというので注意が必要だ。フリーゾーン以外の区画ではタッチオフすることも忘れずに。

トラムがフリーゾーンを外れる直前に運転手からのアナウンスか自動アナウンスが流れるので、それを確認してタッチパネルでMykiカードをタッチオンしよう。
しかしどうも英語が苦手でmapの見方も良くわからないという方は、観光専用のCity Circleというシティーフリーゾーンを定期的に巡回しているトラムがあるのでそれに乗ろう。これはフリーゾーンを出る事は無い。
10分間隔でスペンサースストリート、フリンダーズストリート、ラトローブストリート、スプリングストリートを無料で巡回している。それにしてもメルボルンCBDは非常に坂が多い。歩くにも一苦労だからこうしたトラムがあるとありがたい。

今回説明したのはメルボルンの公共交通機関料金システムの説明だが、ほとんどの人は値段を見ずに利用しているし、メルボルンに住むオーストラリア人でもこのシステムについてしっかりと把握している人は少ないと感じる。しかしシステムが複雑であるほど研究して様々なディスカウント要素を組み合わせて安く利用できるというメリットもある。メルボルンで長めに滞在する人は是非Mykiの料金システムについて知識を深めて賢く利用してほしい。

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