オーストラリアで稼ぐ?そんなに簡単に稼げねーよ?

  
最近ネットサーフィンでオーストラリアのワーホリ関連のブログやポータルサイトの記事を見ていると仕事に関する記事を良く目にします。

記事の大半は読者を引きつけてPVをあげるためかいとも簡単に大金がコンスタントに稼げるような見出しを記事のタイトルにつけていますが、はっきり言ってその記事を鵜呑みにしてオーストラリアに来た人が満足な収入も得られずに職を転々としている事をご存知でしょうか。

今日はインターネットに氾濫している"オーストラリアは稼げる!"という情報について誇張された情報の裏に隠れている不の真実を皆さんにお伝えしようと思います。

あながち稼げるという情報は間違ってはいませんが、オーストラリアでコンスタントに稼ぐには戦略と情報が必要です。

大量の求職者の内に溢れ、結果ウェイティングするハメになる

まず考えて欲しいのが、「オーストラリアは稼げるらしい」という情報を聞きつけてどれだけ同じ考えで来る人間が世界中からオーストラリアに集まるかです。

オーストラリアにワーホリに来る人は年間20万人。日本人の訪問者は全体のわずか5%ですがそれでも1万人近くも毎年来豪します。

20万人のうちただの長期トラベラーやラウンダーを除いてもかなりの数のワーホリメーカーが職を求めて条件の良い求人に殺到します。

そして職を求めるワーホリメーカーのうち過半数が恐らく手に職を持たない、前歴を生かした職に就けない、あるいはオーストラリアで通用する資格や技術を持たないバックパッカーであることが多いと思います。

職を求めるバックパッカーの行き着く先は、だいたいレストラン、バーのウェイター、ウェイトレスまたはキッチンハンドなどのカジュアル要員。そして更に高時給を求めるバックパッカーが行き着く先が、過酷な肉体労働を要し絶え間ない単純作業が続くファームやファクトリージョブです。

ファーム、ファクトリージョブの時給はインターネットで出回っている情報の通り日本ではあり得ないほどの高時給を提示してワーカーを募集したりしています。稼ぐ目的で来た大半のワーホリメーカーがファームやファクトリージョブの求人に殺到し仕事を勝ち取れなかった人は誰かが辞めるまではウェイティングということになります。

この仕事の時給の魅力に取り付かれて1ヶ月待つ人はざらです。まだシティーに近いファームやファクトリーであればなんとかつなぎの仕事を見つけて食いつなぐことができますが、車でも簡単にシティーに出られない僻地にあるファームやファクトリーで仕事のウェイティングをする際、1ヶ月間無収入で再募集を待たなければなりません。

仕事を求人を確認してすぐに得られるかどうかはもはや運次第です。タイミングがよければその日のうちに採用が決まり次の日には現場で働くという事が叶いますが、時期を外すとだいたいの場合は大量の求職者の内に溢れることになります。

コントラクターやファーム、ファクトリー関係者はインターネット上の求人サイトやフェイスブックなどのSNS、またはコミュニティーサイトに今すぐにでも働けるような射幸心を煽る気前の良い広告を時期に関わらず出していますが、彼らは求職者のウェイティングリストを作る為に広告を載せています。

私が働いているファームのコントラクターも既に今シーズンウェイティングを200人も抱えているにもかかわらず相変わらず”稼げる”ことを全面に出した広告を出して未だに求職者を募集しています。

もしウェイティングをしたくなければ稼げる時期、つまりファームであれば仕事があるシーズンを必ず見極めなければなりません。

ファームにはシーズンがある

ファームには稼げるシーズンがあります。ファームで稼ごうとするからにはファーム側の立場を少し理解しないといけないかもしれません。

農業は作物を収穫して市場に卸して初めて利益が得られるビジネスです。シーズンオフを含めた作物を収穫するまでの全ての期間は準備に当てられるため、収入は極端な話0で全ての労働やリースその他諸々のコストは将来の収穫の為の投資になるわけです。

ということは現金収入が乏しいオフシーズンには、なるだけ人を雇いたくない。そしてシーズンの兆しが見えたら雇用の数を増やして行きます。だからコンスタントに一年中稼げるというわけではないのです。

稼げるシーズンはピークを含めておよそ3ヶ月から4ヶ月続きます。この間は最大瞬間風速的に稼げるようになるので、このシーズンを目指して求職者が殺到します。またファームによってはオーストラリア人の雇用を優先的に確保しようとするところもあるのでそもそもバックパッカーが不利な場合も有ります。

確実に仕事を獲得するにはシーズンが始まる前、まだ求職者が動き出してない段階で様々なファームやコントラクターにアプライし彼らのウェイティングリストに乗せてもらう事です。

しかし”稼げるシーズン”が来たとしても”稼げる”とは限りません。

結局稼ぐには"スキル"が必要

シーズンがやってくるとファームの仕事の大部分は歩合制に移行しワーカーの間で稼げる人間と稼げない人間の差が明確に出ます。

シーズンがやってきて稼げるかどうかはその人の”スキル”にかかっています。当たり前ですがスキルがあれば単純労働であっても効率的で生産的な仕事が可能になります。

求人広告やインターネットで拡散している月収50万円以上というのはあながち嘘では有りませんが、それは”スキルを持った人”が稼ぎ出した金額です。

シーズンになると出稼ぎにやって来る東南アジア系、韓国系の移民達が大量にファームに押し寄せます。彼らはどのようにビザを取得しているのかは謎ですが、5年、10年選手がほとんどでファームでの労働に関してはベテラン級の季節労働者です。

だいたいピッキングでは一日の生産量の半数近くをこうしたベテランの季節労働者が取って行ってしまうため、新参者のバックパッカーはなす術が無いという感じです。

勝ち目はあるとは思いますが相当な努力が必要と思われます。それこそピッキングのスキルが有ると人に認められるぐらいでないと大きく稼ぐ事は難しいと思います。

ではファクトリージョブはどうか

これは歩合でもなく季節も無くコンスタントに年間を通して安定して高時給で働けると思うでしょうが、働く時間の長さと頻度が問題です。そもそも一日に数時間しか働けないのであればいくら高時給といえど全体的な収入は結局レストランでの仕事と変わらないかもしれません。

若しくは働ける日数が極端に少ない場合も同じです。もしこの2つの悪条件が同時に重なってしまったら目も当てられません。

挙げ句の果てにマネージメント側から見て仕事のパフォーマンスが極端に悪いと見えればすぐにレイオフを切り出して来るかもしれません。

ファクトリージョブの現場でもファクトリー側の要求に素直に応じ生産性の高いワーカーが重宝がられ、長い時間をコンスタントに働く事が出来ます。

要はスキルが高いワーカーです。

数をこなせない時間だけを食いつぶすワーカーはいらないわけです。そういうワーカーはどんどん労働時間を短くされます。

こうしたカジュアルの現場ではいかに効率的かつ効果的に仕事の生産性を上げていくかが生き残る鍵であり、スキルをアップさせる術になります。

まとめ

高時給の仕事は肉体労働の現場だけとは限りませんが、その場合は往々にして前職の経験やスキルが必要になってきます。もしこちらで存分に生かせるすきるがなく高時給の肉体労働に従事する場合は求職の方法、時期、アプローチの仕方、戦略的に考え、仕事のスキルが無いのであれば必死に無って努力して身につける他有りません。単純労働だと言って馬鹿にする人ほど稼げません。断言します。

努力無しで、そして考える脳無しで大金が稼げるほど甘い世界ではないということを留意してください。

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